初めに各パーツを切り出します。
その際、1枚の革より縦、横の繊維方向を考え、作品に合うように裁断しています。
革の繊維層は伸びやい箇所、伸びにくい箇所など、どれもが方向性を持っており、それを考えずに裁断してしまうと、作品になった際、永年使用する過程で、ねじれや変形、シワの原因となったり型崩れの原因となる可能性があります。
繊維の流れに沿い作品にしっかり合わせて、各パーツを裁断することで、その見栄えは美しく、さらには丈夫に仕上がり、折り目、シワなどが残りにくくなります。
ライナーの素材はイタリアモンタナ社製イタリアンレザーを使用、経年変化で光沢が出て非常に高級感がでる素材となります。フルレザーに拘り、バックグラウンドレザーにもジャパンタンニングレザーを採用しています。

各パーツにはコンマ単位でのスキニング（革を漉く作業）が幾度もはいっており、強度が欲しい部分は厚く、縫う箇所は薄くしパーツにより全く厚さが違います。
また、エキゾチックレザーのスキニングに関しましては特殊な技術を必要とします。
ウォレットのライナーであるカードスロットなどはカードが取りやすいように、徐々に厚くし、折り曲がる所は薄くし、使用する流れを考え革の厚さを変えていきます。
張り合わせ、縫製を考慮し全体のバランスを考えて合計100回以上のスキニングを施します。
こうしてスキニングによりメリハリをつけることで全体のバランス、長年使用する際のストレスを軽減し、使いやすさと美しさを保っています。

作品は表裏フルレザーで、切り出したパーツとパーツを接着する為に必要な処理として両面の仕上げを丁寧にします。
その後、パーツの表裏の貼り付けの際に、コンマ単位でのずれでも生じると作品の見栄えに影響してくるため、慎重に貼り合わせます。
ムラが出ないよう木槌やローラーでしっかり接着していき、角部は縫製の際に剥がれやすく、特に念入りに圧着していきます。多くの他社のウォレットは断面図をコバ処理するのみが多いがRizardHeadではへり返しをし耐久性と美しさを両立させています。

縫製は細かなピッチも縫える特殊なミシンを使用し、革の種類や厚さ、芯材が重なって分厚くなった部分など、場所により針や糸を変えています。
エキゾチックレザーも使用するRizardHeadでは特殊なマテリアルも多く、革を重ねたキワの部分を正確にまっすぐ縫う工程は特に神経を必要とします。
失敗が許されず、こちらもmm単位のずれで完成時の作品のイメージが全く違うものとなる為、時間と手数を掛けキワを丁寧に縫いあげます。
縫い終わりは糸目を落ち着かせる為、金槌で一つ一つ丁寧に叩いていきます。

そうして制作したボディとインナーパーツであるカードケース、コインケースを組み合わせます。
その際に、パーツとパーツでずれが生じないよう慎重に組みあわせ接着箇所にたるみやシワが出ないよう丁寧に金槌で圧着していきます。

今回のウォレットには、全体的にレザーアートが組み込まれています。
デザインを決め、ベースになるグレインレザーにハンドスケッチをしていきます。
出来上がりのバランスを決める重要な工程で、mm単位の誤差がデザインを変えてしまう恐れも有り、細かな箇所は手術用のメスを使用し慎重にカッティングしていきます。
使用するグレインレザーとは植物でタンニングされたレザーを揉む等の工程を得て独特のシボ（表面のシワや凹凸）を出し表情をつけた皮革となります。

その後、カッティングしたレザーをマテリアルに合わせて縫製を掛けていきます。
レザーアートのカッティングもそうですが縫製の際ももちろん一発勝負で、時間と手数を掛けて丁寧に縫製していきます。

幾重の工程をへて出来た作品のコバ(端）は全て磨き、染色を手作業で繰り返し丁寧に仕上げています何層も念入りに染料を塗り重ね、磨き上げることで完成の際の高級感が全く違ったものとなります。
また、リザードヘッドの独自開発したオリジナルレザーを巻き込んでのボールフィニッシュ仕上げ、オーストラリア産のカンガルレースを使用してのレースフィニッシュ仕上げ、へり返してのドレスフィニッシュ仕上げなども選択頂けます。
全ての仕上げが一手間も二手間も掛け制作されています。